あるきデス

50代からの毎日の歩き方from鎌倉。Rock your life! ジタバタしたっていいじゃないか!

ニューヨークのあの「人」に会いたい!坂本龍一教授の巻。

こんにちはユルネバT-800です。

 

あの「人」会いたいシリーズも:

 

鎌倉 → 横浜 → ニューヨーク

 

と飛びまくっております。

 

中年からのピアノは質が悪い

私は今から10年以上前の一時期、ピアノを習っていたことがありました。いわゆる中年の手習い。

 

まあ、大人になって(子供時分はピアノを習ってないので)習得することはかなり苦労、というか限界があります。理屈並べることだけは一人前なのですけど、全く指も頭も回りません。

 

そうなると大人のピアノレッスンのコツは技術を磨こう等ということは清くさっぱり諦めて、好きな曲をナルシストになって弾こうってことかも知れません。

 

とは言え、教えている方もお金をもらっているのでそこは大人だろうと容赦なし。私の場合個人レッスンだったこともあり、結構いい加減に(でもこちらとしては必死)弾いていると先生の厳しいお言葉がビシバシと飛んできました。

 

自分としては大好きなラベルやドビュッシーの曲を弾きたいのですけど、レッスンではその意向は巧みに先生によってかわされ(つまり「そんな曲弾けるレベルじゃないでしょ!」と仰られているわけです)自分の技量に応じた初級の曲を弾く日々でした。

 

それでも、素敵な曲との出会いがありました。

 

永遠の恋人「ひねくれもの」バルトークとの出会い

まずはバルトークの「ルーマニア民族舞曲」の1曲目「棒踊り(ジョク・ク・バータ)」。これは本当に素敵な曲でバルトークルーマニア各地の民謡を採取して作曲したらしくて、なにやらジャズ的な和音進行、リズムが最初に感じられました。

 

これ1曲でバルトークのファンになりました。この曲が教えてくれたのはピアノ演奏はまず正確な拍(リズム)が土台ということです。ですのでゆっくりと楽譜通りの正確な拍を刻めるように弾きます。

 

「棒踊り」に特徴的なのは八分音符&十六分音符の組み合わせ+十六分音符の三連符 + 十六分休符による、跳ね回るメロディラインです。なのでこの曲は譜面通りに弾くだけではカッコよくならない。まさにシンプル&奥深い曲なのです。

 

またこの曲を初めて聴いたときに思い出したのがYMOのアルバム「BGM」に入っている細野晴臣リーダー作曲の「マス」。十六分音符をベースとした和声進行やリズムも含め「鉛色した冬の東欧の空の下を延々と無言で行進していく人々」をイメージさせるこの曲とバルトークの曲が結びついたのです(そういえば同アルバムのYMO3人の共作「U.T」のピアノの打楽器的使い方もバルトークの「ピアノ・ソナタ」の影響を受けているような)。

 

「引用」の天才。坂本教授

このバルトーク的なものを持ち出したのは間違いなく坂本龍一教授でしょう。教授は自身のソロアルバム「音楽図鑑」でもバルトークを巧みに「引用」しておりましたので。

 

さて教授によるクラッシック(ピアノ)曲の最高の引用を私は偶然自身のピアノ発表会時に「発見(聴)」したのです。それはピアノの先生のお手本演奏によるドビュッシー「ピアノのために」の中の3曲目「トッカータ」。

 

この和声進行、というか響きどこかで聴いたような・・・アッ~!これって坂本龍一教授の傑作アルバム「B-2 Unit」の5曲目「Iconic Storage」の奥で鳴っている和声進行に似ている!

 

これは真の意味でアバンギャルドです。この凶暴なプロフェット5から創り出されたサウンドの中でドビュッシーが響いているとは・・・眩暈がします。19世紀末当時十二分にアバンギャルドな響きであっただろうドビュッシーがこのような形で引用され、ニューウエーブな響きになろうとは。恐るべし教授!

 

1901年に作曲された「ピアノのために」が1981年に発表された「B-2 Unit」で生まれ変わる。そういえば教授は高橋悠治氏の依頼で氏自身が演奏するためにピアノ曲「僕自身のために」も1981年に作曲している(これも傑作です)。

 

なので、やはり「ピアノのために」→「 Iconic Storage」という流れはあながち間違いではないように思います、と自分で正当化。

 

さて、私のピアノレッスンも数年で挫折。結局バルトークは弾いたもののラベルにもドビュッシーにも手は届かずじまい。でも2回経験したピアノ発表会で最後に演奏したのは教授の「Prolibre」。心をこめて弾きましたけど、下手は下手。でも演奏後、その日一番演奏がお上手だった女性(個人レッスンなので今まで会ったことがない)から「素敵でした」と言われお世辞でも嬉しい中年オヤジの舞台となりました。

 

またピアノ弾きたいなあ・・・。

 

さて「ニューヨークなんか歩いてないじゃんかよー!」とのクレーム、仰せの通りでございます。多分いまだニューヨークを拠点にしている教授に敬意を表しての巻です。でも本当にニューヨークに会いに行った「人」がいますのでそれはまたの機会にご紹介させてください。

 

では、次回もYou'll never walk alone!