鎌倉から行く東海道の天然酵母パン屋さん。
こんにちはユルネバT-800です。
本日はコーヒーとパン屋さんとカフェなら一度は訪問して欲しいお店が盛りだくさんの湘南地区の中から東海道沿いにあるパン屋さんをご紹介。
それではまず起点の日本橋から歩き始めます・・・なんていうレポートはまたあらためて。今回のお店は東海道五十三次と言われる街道沿いの宿場町の中のひとつ藤沢宿にあるパン屋さんです。
お見せの名前は「関次商店 パンの蔵 風土」。私はパートナーから教えてもらい今年
(2019年)1月にオープンしたお店を2月中旬に初めて訪問しました。
こちらのお店は旧東海道藤沢宿にある国の登録有形文化財「関次商店穀物蔵」つまり本物の蔵(「蔵風」の建物ではないということです)をリフォームしたパン屋&カフェなんですね。
まずはお店(蔵)の入り口から見える店内は「オシャレ」。中に入るとこの空間を作った人の抜群のセンスに感動します。また2月に初めて来たときと今回もその雰囲気は変わっていないことにも感動。お店って最初お洒落で新鮮な感じがしても段々とそれが失われていくことがままあるのですよね。お店においてそのままの状態を維持するというのは膨大なエネルギーが必要なのです。
さてこの蔵空間。とても心地良いのです。1Fにはテーブル席が4つ、畳席(座敷席)が2つあります。もともと日本家屋というのは畳に座ることが前提となっており天井が低いのですけど(こちらの畳席にあるスペースはそのように天井が低くなっております。まあ逆に穴倉のような空間が好きな私にはこの狭さも心地いいのですけど)、蔵は保存庫なので2階スペースがないと天井の高さはかなりのものです。
というわけでメインスペースは吹き抜けのように高い天井で、梁も見えて広がりを感じさせてくれる開放的な空間です。
私は仕事の関係上店舗デザインにもかかわることがあります。そんな経験を通じて自分なりにお店のデザインというものを以下のような要素に還元して捉えています。
- 空間(幅・奥行・高さ)
- 配置
- グラフィック (含む文字)
- カラー
- 照明
- 素材
- オーディオ
これらの要素の中の「素材」がこの「パンの蔵 風土」の最重要なデザイン要素でもあります。その素材はずばり土、竹、木。特に今では貴重な「木舞(こまい)」の土壁(保存庫としての蔵の要でこの土壁によって湿気、外気、外気温の変化から中に保存されているものを守っているのです)の素材感が何物にも代えがたい。
そしてもうひとつの重要な要素が照明。当然蔵は外光を遮断することで中の温度の上昇を防ぎ紫外線のよる品質劣化も防ぐ作りなので夏の昼間でも締め切るとひんやりとして真っ暗です。なので土壁を切り取って作られた窓がとても美しく、その部分がまるで印象派絵画で描かれた光ように美しい。窓の周りの土壁も額縁以上の存在感でその陰影はまさに谷崎潤一郎のいうところの「陰翳礼讃」そのものですね。
店内のライト類もこの陰翳を意識してとても効果的に配置されています。もともとあったこの蔵という空間×素材×自然光も含む照明があいまってカフェとしてとても素敵で心地よい空間を創り出しているわけです。
とまあ、パンの話に辿り着かず蔵をリフォームしたお店のデザインばかりの話しとなりましたけど、天然酵母を使ったパンもバラエティ豊か。パンって見ただけで美味しいかどうかわかるものですけど、こちらは見た目通り美味しい!です。
またコーヒーも丁寧にハンドドリップで淹れたてを提供してくれます。コーヒー豆もオーガニック。創業1950年の京都にある玉屋珈琲店の有機レギュラーコーヒーのようです。誰からも好まれる味だと思いますのでパンとの相性も抜群のこちらもお楽しみください。
このお店の難点を一つだけ挙げるとしたら、パンが早い時間で売り切れになってしまうことがあるということでしょうか。まあ、それだけ人気があり、また食品ロスもないということでいいことだとは思いますので、皆さん早起きして出かけましょう。
このお店のある藤沢宿はもっと知名度が上がってもいいと思いますし、色々なお店が集まると散歩コースとしてももっと人気も出てくると思います。まあ、東海道自体がその知名度の割には散歩マーケット(そんなものがあればの話ですけど)としては想起されずそのポジションを獲得することが、当面の課題のようにも思います。
では、次回もYou'll never walk alone!