あるきデス

50代からの毎日の歩き方from鎌倉。Rock your life! ジタバタしたっていいじゃないか!

すべての道は北鎌倉へ通ず。散歩道の穴場は大船から行け!(後編)

こんにちはユルネバT-800です。

 

恐れを知らぬ愚か者

さて、いよいよ粟船山を登ります。

 

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ここは丹沢かぁ?

 

あの丘は険しすぎて登れない、と君は言う

ぼくが登るところを見てみたい、と君は言う

場所を決めてくれたらぼくが時間を選ぼう

そしてぼくなりにあの丘に登ってみせよう

良い日が来るまでしばらく待ってくれ

そして頂上をきわめたとき

ぼくは下界を見下ろして、

君が今日言った事に耳を澄ますよ

 

ピンク・フロイド「フィアレス」より

 

草燃える」再び

さて裏山の道を登っていくと「あれ行き止まり?」って思ってしまう場所に着きます。そこには「姫宮の墓」と「粟船稲荷」があります。この配置は・・・?

 

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この先に・・・

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案内板があり「姫宮」の文字が見えます。



 

姫宮の方は頼朝と政子の長女である大姫(おおひめ)のお墓とも言われているようです。頼朝によって滅ばされた木曽義仲の嫡子、清水義高を幼いころから将来の夫と信じていた大姫です。

 

義高もまた、将来頼朝にとっては危険な存在となる可能性があるので(頼朝は父の仇)頼朝の命で誅殺されてしまいます。その報を聞いて嘆きのあまり食を断った大姫。

 

彼女はメンタルも病んで、父母を恨んでその短い生涯を終えたのです。はたしてあの世で義高と夫婦に成れたのか・・・?ストーリーが広がっていきます。

 

で、行き止まりかと思い引き返そうとすると、あら、道が続いてますね。さらに登ります。

 

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なかなか急な斜面です。


 

登りきるとそこには清水(木曽)義高のお墓もあったのですね。その時は気付きませんでした。

 

まあ、はたしてこれらが本当に義高が眠っているお墓かどうかはともかく、そうやって時空を飛び越えて過去の世と繋がり、そのストーリーを後世に語り継ぐきっかけになるのがお墓であると思います。

 

破壊されズタズタに引き裂かれた道を這いずり行く時

私の墓石には混乱という墓碑が刻まれるだろう

何とかうまく切りぬけられたら

私たちは一息ついて座り込み

再び笑いを取り戻すことができる

だけど明日私は泣きぬれているはず

そう、明日私はきっと涙を流す

 

キング・クリムゾン「エピタフ」より

 

コンフュジョン~♪ウィルビ、マイエピタフ~♪

 

 粟船山という惑星

さて裏山の道を登りきるとそこは山の頂上・・・なのですけど高台の住宅地があります。お寺の外からは分からなかった常楽寺と粟船山の空間配置が今分かりました。

 

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右側、眼下に常楽寺の姿が木々の間から見えます。

で、しばらく右手に眼下の常楽寺を見ながら道に沿って歩くと、墓地があります。ここも常楽寺のお墓ってことでしょうか。つまりお墓の近くに住宅が出来たってこと?

 

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ロケーションも秀逸な墓地。

この墓地にはちょうど桜の木が花を咲かせていて青空に映えて美しい光景となっておりました。

 

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桜を見ながらの春のお墓参り。心癒されます。



 

で、道なりにj細いj路地を進むと、「あっ~ここだったのか!」と思わせる車道が現れます。神奈川県道21号横浜鎌倉線です。

 

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これも鎌倉街道

 

粟船山から来て左側へ行くと大船警察署へ、右側へ行くと常楽寺交差点があります。とりあえず左側に向かって下る道しかないので、そのまま常楽寺交差点と反対の方向へいったん向かいます。目印として左手に鎌倉大船キリスト教会があります。

 

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ここを下ります。

 

さて県道にまで降りてきたら、ちょうどUターンする形で、今度はキリスト教会を右手に歩道を常楽寺交差点に向かって下っていきます。

 

粟船山交差点 → 六国見山登り口

お気づきかと思いますけど、ここまで歩道や路地や山道を歩いてきているので車の往来に悩まされることはありません。唯一、常楽寺交差点を左に曲がって県道を横切るときに車に注意って感じでしょうか。

 

その常楽寺交差点を渡って反対側の道を真っすぐいくとすぐに懐かしい円柱形の赤い郵便ポストが見えその向こう右手に魚屋さんが見えます。こちら「魚由」さんも何十年も営業されている活きのいいお魚が買える真面目な鮮魚店です。

 

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赤いポストがアクセント。

 

その「魚由」を後にしてしばらくいくとT字路があります。ここを右へ曲がります。

 

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この先のT字路を右に曲がります。

 

実はこの時はこのまま、道なりに真っすぐ進み鎌倉市立小坂小学校の前を通り過ぎて・・・ってコースへ行く予定だったのですけど、急に今だ未踏の六国見山への登り口を確かめたくなり、ちょうど登山口を示す白地に黒文字で書かれた道標を左折しました(住宅の白地の塀と同化しているので見逃さないように)。

 

そこから道なりに進んで右へ左へと曲がりながら歩いていきます。やがて上りの坂道になり鎌倉特有の苔と羊歯類が美しい山肌が右手に見えます。

 

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いい雰囲気になってきました。

 

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苔&羊歯の美しいハーモニー


 

道なりに右に曲がりながら歩いていくと再び白地に黒文字で書かれた道標があります。左に向かっても右に向かっても経由地が異なるだけで六国見山には辿り着けるようです。で、ここは右へ向かいます。ここで右に向かったのはこちらが北鎌倉駅の位置する方向だからです。

 

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ここは迷わず右へ真っすぐ。

 

計算された人生なんて意味がない!

で、その右の道を進んでいくと、やがて行き止まりのように見える民家が見えます。ここでもまた2択を迫られます。

 

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運命の分かれ道?かぁ。

 

 

どうもその先があるのは左の道らしく、公園に続く道のようです。で、右は道が細くなりその先へ進めるのかどうかは不明。どちらに進むべきか・・・?

 

最初は、無難に先の予想できる左の道を進もうとしました。その時・・・思い出したのが「芸術は爆発だぁ!」の岡本太郎センセイのお言葉。

 

みんなどうしても、安全な道の方を採りたがるものだけれど、それがだめなんだ。人間、自分を大切にして、安全を望むんだったら、何も出来なくなってしまう。計算づくでない人生を体験することだ。

岡本太郎著「自分の中に毒を持て―あなたは“常識人間”を捨てられるか」より

 

そうかぁ!では右に進もう!(大袈裟だなぁ~)

 

そして民家の敷地に不法侵入して通報されてしまうのではというリスクに怯えながら進むと・・・おお!ここは切通じゃあ~りませんか。

 

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うん?道が続いている!

 

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こ、これはぁ~。き、切通しかぁあああ。

 

切通しのマトリョーシカ構造

あとで調べて分かりましたけどここは「長窪の切通し」と言うそうです。

 

両側の岩肌もイイですねえ。両側の苔の緑のラインと道の落ち葉のコントラストもいいですね。

 

この日は快晴で日差しも強かったのですけど、切通しにはひんやりした空気が流れ、鍾乳洞や土蔵の中に入ったような気分です。

 

道の前後をジェイソンとブギーマンに挟み撃ちにされたらジ・エンドです(ナンノコッチャ)。もしくは両側の崖の上から、まるでハリウッドの西部劇やインディー・ジョーンズ・シリーズや「マッドマックス 怒りのデス・ロード」のように敵に攻められたらひとたまりもありません(と、妄想を膨らむ切通し体験でございます)。

 

 

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羊歯のお飾りがお出迎え~。

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まるでXウィングを操縦してデススターのトレンチ(溝)の中を飛んでいる気分です!

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振り返っても切通し!(当たり前)





 

この切通しがはたして鎌倉時代に作られたものかどうかは分かりません。ただ。これこそまさに「異界へ通じる」鎌倉らしい空間だと思います。

 

で、その切通しを抜けると、異界ではなくまたまた住宅地に出てきました。これも鎌倉にはよくある空間配置なのです。異界は切通しを抜けた先にあるのではなく、この切り通し自体に存在するのです。

 

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異界 → 日常へ

切通しを抜けて右に曲がって歩いていくとすぐに右手に舗装されていない駐車場があり、その駐車場越しに大船駅方面の街並みが見え、その真ん中には大船観音さまの姿も見えます。おお、ずいぶん高台に上がってきているのですね。

 

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大船観音さまが見える!

その駐車場を右手に見ながら過ぎると広めの道を横切ります。この道は県道21号線の「大船高校入口」から延びてきている道路です。

 

その道を横切り住宅街の最初の角を左へ曲がりそのまま道沿いに右へ曲がると突き当りに階段が見えます(階段の右横はゴミ置き場となっています)。

 

その階段を上ると、直角に交わる階段に突き当たりますのでそれを右方向へ下っていきます。あとは階段→坂道を道なりにどんどん下っていくとやがて北鎌倉駅の大船寄りの遮断機のある踏切が見えてきます。あとは横須賀線沿いに左へ進むと北鎌倉駅にトウチャコ。

 

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Peolple come up stairs ♪ People come down stairs♪ YMO「Stairs 階段」より

 

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人生下り坂、サイコー!

 

こうやって歩いてきて分かるのが、北鎌倉の地形と空間こそがひとつの大きな切通しになているということです。つまり横須賀線の線路と両側の山の組み合わが、まさに切通しのそれ。

 

つまりは大きな切通しの中に幾つかの切通しがある、という構成なのです。

 

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最大の切通し?横須賀線 北鎌倉駅周辺

 

チャンス・オペレーション・イン鎌倉

さて、ここまで書いておいてなんですけど、今回歩いたルート自体は色々なところでも紹介されているので、目新しくないでしょう。ただ自分にとっては常楽寺の裏山道も長窪の切通も偶然出会ったからこそ、散歩の悦びも倍増したように思います。

 

そういえば、スマホのアプリに導かれるまま歩くってことを実験的にやっているアメリカ?の人が以前TVで紹介されていたな。そうまるでジョン・ケージがコインを投げて譜面を作り、作曲したように散歩する。こんど試してみますか。

 

偶然の出会いを受け止めながら発見の喜びを感じる、まさにI feel the power of a walk!な一日でした。

 

この後また思いつくままに歩いたのですけど、そのルートはまたあらためて。

 

では、次回もYou'll never walk alone!